――初診の内訳はどうなっていますか?

 発達障害関連の初診時診断が全体の約6割を占めています。ただこれはあくまでも初診時に親御さんが「困っている」と訴えている問題と、子ども本人の訴えや面接での様子からとりあえず診断した場合に「発達障害と思われるものが6割くらい」という意味です。注意欠如・多動症(ADHD)と診断をつけたけれど、その後経過を見ていくうちにトラウマ関連の問題ではないかと変更される場合もあります。また初診時は親御さんから「こだわりが強い」との訴えがあり、自閉スペクトラム症(ASD)と診断したが、よくよく経過を診ていってみると、ASD特性の程度は軽く、むしろ強迫症状がそれに加わって全体での「こだわり」がひどくなっているといった場合などもあります。

――保育園や学校で発達障害の可能性を指摘されて受診するお子さんが多いのでしょうか。

  当初は「指摘されたから渋々」というケースも多かったのですが、最近は予約がなかなかとれないので、あまりモチベーションが高くない人は多くないように思います。

 ほかの医療機関を何カ所か回った上で「より専門的な医療がないか」と期待して受診してきたり、もっとモチベーションの高い親御さんですと、事前にいろいろ調べてきて「ペアレント・トレーニングなどのプログラムを受けたい」と希望してきたりする親御さんが多いです。

早くかかれる医療機関にかかる人も

――児童精神科は長期の予約待ちが発生している状況なので、待ち時間が短い(児童精神科の専門医ではない)小児科医や内科医を受診する人も少なくありません。

 東京や横浜など首都圏では、「発達障害を診ています」というクリニックは実は結構増えてきていて、内容にこだわらなければそれほど待たずに受診できるようになってきていると思います。「放課後デイサービスなどの支援制度を利用するために、とりあえず医師の診断書がほしい」とか、「不安だからとにかく早く診てもらいたい」という人たちは早くかかれる医療機関にかかっていると思います。

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「診断された後に子どもに何が提供されるか」がとても大事