

散歩社はボーナストラックの運営を20年の長期契約で委託されている。それは、小田急側の担当者が代わってもコンセプトを引き継いで運営してほしいという小田急側の願いでもある。
地元と鉄道会社がガッチリとタッグを組んで生まれた下北線路街。一方で、線路街を生むきっかけとなった道路計画は今も残る。補助第54号線は、3工期のうち2期・3期が優先整備計画から外れたものの、1期と街路は28年度の完成予定をいまのところ崩していない。街中には区が取得した土地が歯抜けのように残り、線路街のイベントスペースとして使われている「空き地」も隣接する道路開発の目途がつくまで一時的に活用しているものだ。一方、予定地にかかる店舗などの立ち退き交渉はまとまっていないという。今後下北沢の街の姿がどうなるか、全容は見えない。ただ、矯正歯科医で、ロックバー「Never Never Land」を営む下平憲治さんは楽観的だ。
「地元の人の多くは『道路は止まった』と思っています。一方、行政も簡単に計画をゼロにはできないでしょう。でも、私はこのままでいいのかなと思っています。つい『着地点をどうするんだ』と白黒つけたくなるけれど、それはどちらかを負かすことになる。空いた土地はうまく活用して、建設派も『早く道路通したいけれど、今はなんかはやってるしまぁいいか』って。それもシモキタらしいですよね」
(編集部・川口穣)
※AERA 2023年11月13日号より抜粋