ノーベル賞作家川端康成夫妻と話す昭和天皇。右は今日出海 =1968年秋の園遊会

意外な印象もあるが、天皇や皇族方は、アニメ番組、漫画に通じている。今年6月のインドネシア訪問では天皇陛下が、アニメの「NARUTO(ナルト)」にひっかけて、

「私は徳仁(なるひと)です」 

 とダジャレを披露したし、故・寛仁親王の長女、彬子さまが中国の春秋戦国時代を舞台にした「キングダム」の大ファンでもある。

「サザエでございます」

 こう自己紹介をしたのはアニメの「サザエさん」役を40年以上続けた大御所声優の加藤みどりさんだ。

「両陛下はアニメなどはご覧になりますか」

 加藤さんは、当時の天皇陛下と美智子さまにこう質問をした。美智子さまは、すこしおかしそうな表情で、「少し」。

 さすがのお人柄と、周囲が感心したのが当時、皇太子だった天皇陛下の言葉だ。

「一家で見ていますよ」

 皇太子さまの気遣いのある声かけに加藤さんは、「大感激でした」と胸を震わせた。

 思い出すのは、2018年春、平成最後となった春の園遊会だ。皇太子妃だった雅子さまは、招待客ひとりひとりと丁寧に会話を続けた。そのため、皇太子さま(現・陛下)との間には大きく距離が空き、遅れてしまった。陛下は急かすことはせず、雅子さまを見守るように待っていた。おふたりの姿に、周囲はあたたかな空気に包まれた。

 5年ぶりとなった秋の園遊会は、おふたりの人柄を写すように、会場は笑いが絶えなかったようだ。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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【写真で振り返る園遊会】あの人と意外なやりとり