秋晴れの日、家族で樹木葬をした母の墓参りへ。猛暑にめげずわっさと育った木に元気をもらう(写真:本人提供)

 大義なき時代をどう生きるか。そんなとてつもない問いの答えを見つけなきゃいけないことになるとは考えてもみなかった。もちろん答えなど簡単に出てくるはずもなく、結局は何もできぬまま普通に日常生活を送っている。

 でもこの度のことで、改めてパレスチナ問題をにわか勉強して痛感したことが一つある。それは、歴史も世界も繋がっているということだ。蝶の一つの羽ばたきが歴史を変えていくように、ある日ある時にある場所で普通の人が生んだ一つの差別、一つの憎しみ、一つの暴力、一つの沈黙、一つの無関心が積み重なった結果が今なのだ。ならば私にできることは今この時、この場所で、一つの親切、一つの許しを積み重ねていくこと、周囲の人と助け合いながら生きていくことしかないんじゃないか。綺麗事である。でもやはりそれしかないように思う。

AERA 2023年11月6日号

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