西武園ゆうえんち 夕日の丘商店街/1960年代の街を精巧に作った。建物は張りぼてではなく、すべて新築したという(写真映像部・松永卓也)
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 ファッション、食、音楽など様々な分野でレトロが人気だが、若者たちは昭和レトロのどこにひかれているのか。AERA 2023年11月6日号より。

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 老朽化や再開発などで少なくなってきた「昭和の商店街」に、令和の今、多くの若者が足を運んでいる。

 埼玉県所沢市の西武園ゆうえんちが2021年に開業した「夕日の丘商店街」。1960年代を再現したところ、来場者数は右肩上がりに伸びている。

 平日午前10時、記者も訪ねた。ノスタルジーに浸る中高年の客が多いかと思いきや目立っていたのは若い女性。友達同士や中高年の親と一緒に来場していた。公衆電話の写真を撮っていた、25歳の女性はこう話す。

「ダイヤル式の電話、かわいいです。薄いピンク色が、今の電話にはないポップな色合いじゃないですか」

撮影/写真映像部・松永卓也

「ときめき」と「映え」

 かつて店などにあった本物の公衆電話だ。丸みを帯びた四角いフォルムで、真ん中にダイヤルがある。使ったことがなくても「ときめく」のだという。

 31歳の女性は、喫茶店でクリームソーダの「映え」写真を撮りたいと話した。色鮮やかなソーダとバニラアイスがしゅわしゅわと溶けあう。その様子を撮影したいのだという。

 なぜ昭和のテイストに引かれるのだろうか。別の25歳の女性は言う。

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