ブッキングドットコムのホームページ。同社は一連の騒動について、システムトラブルと説明している。

 コロナ禍が明け、海外からの観光客数が増加しているなかで、世界最大級の旅行予約サイト「ブッキングドットコム」による未払いが相次いでいる。取材に答えた経営者の50代女性は「廃業も検討している」と打ち明ける。ブッキングドットコムは一連の騒動について、システムトラブルと説明している。現状を取材した。

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 ブッキングドットコムが取引先の宿泊施設による未払い問題をめぐり、施設のオーナーら10人が20日、オランダ本社と日本法人に対して、損害賠償を求める訴えを起こした。

 弁護団が東京司法記者クラブで20日に行った会見で、原告の代理人の加藤博太郎弁護士は「50人以上から相談がきており、被害総額は億単位。前代未聞の巨額の未払い事件です」と主張した。訴状によれば、原告側の数は11社に上るという。原告は被告側に、総額で約3669万円の損害賠償を求めている。

 被害者の中には、従業員への給料支払いが3カ月間遅れていたり、廃業を検討する施設まで出ているという。

 関東県内でホテル業を営む50代の女性は「担当者ともなかなか連絡が取れなく、お金を取り崩しながら、食材費などの支払いをやりくりしている。ブッキングドットコムの影響力はすごく、コロナ明けでインバウンド客が回復傾向にあり、頼っていた面が大きい」と肩を落とす。

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日本以外のホテルでも未払いが相次ぐ