過去にも16歳で渡米しメジャーリーガーになったマック鈴木(マリナーズ他)をはじめ、10代で海を渡った選手はいた。高校の先輩、菊池や大谷も高卒から直接メジャーに挑戦する道を模索していた。しかし佐々木の場合はこれまでとは異なったケースであるのは間違いない。
「かつては日本の野球に馴染めない選手が渡米するケースも目立った。菊池の頃は現地でのプレー環境やサポート体制に不安もあった。しかし他競技も含め海外でプレーする選手も激増、日本以上に好環境である場合も多い。10代で海外を選択する選手が増える可能性があるだろう」(在京球団編成担当者)
かつての江川卓や元木大介(のちに巨人入団)のように、ドラフトで指名されたが意中球団でない場合に一時的に米留学という形はあった。しかしドラフト指名をあらかじめ回避して米国に留学(進学)するのは新しい形と言える。
「米国大学のスポーツ施設が充実、プロのマイナー組織よりも先進的な取り組みをしているところも多い。以前はルーキー級からメジャーへ上がっていくのが通常だったが、大学に進学することでメジャーでの即戦力レベルになってからプロ入りする選手も増えた」(MLBアジア地区担当スカウト)
米国の大学スポーツは非常に人気でビジネスとして成り立っている場合も多い。各施設に多額の投資をして学生の待遇がプロ顔負けのところもある。またスポーツ以外では、倫理規定などに厳しく学力も一定水準が求められ、日常生活の乱れで部活動への参加禁止になるケースも多々見かける。
「選択した大学、環境次第だが大幅なスケールアップも見込める。佐々木の場合、打撃センスの良さは誰もが認めるだけに肉体改造に成功すれば凄い打者になれるはず。人間的にも成長できるならば米国留学の意義がある」(アマチュア野球に詳しいスポーツライター)
米国の大学で野球をプレーした場合、順調に行けば3年後にはMLB、その翌年にはNPBのドラフト指名を受けることができる。