石井弁護士によると、そもそもペットは法律上、「物」として扱われる。無償の譲渡であれば「贈与契約」。有償であれば「売買あるいは交換契約」が、譲り手ともらい手の間に成立することになる。
また、民法の規定によって、所有者は法律に違反しない限り、自分の所有物を自由に使うことができることになっている。
「ペットにも同じ理屈が当てはまります」(石井弁護士)
つまり、法律に触れない限り、どう扱うかはもらった側の自由になるということだ。
契約書を交わすことが重要
石井弁護士はこれを前提に、予期せぬトラブルや悲劇が起きるリスクを防ぐため、しっかりとした契約書を交わすことの重要性を訴える。
譲り手は、譲った後にしてほしいこと、例えば散歩の頻度や食事の与え方、病気になったらちゃんと動物病院に連れていくことなど、もらい手に義務を負わせる形の条件を明示し、違反があった場合はペットを返還することも契約書で取り交わしておく。
「もらい手があらかじめ当事者間で定めた義務を果たさなかった場合は、譲り手は契約違反を理由に契約を解除し、ペットを取り返すことができます」(石井弁護士)
このようにあらかじめ定めておくことで、虐待や不適切な飼い方が発覚すれば、取り返すことができるということだ。
逆に契約条件があいまいだと、虐待が発覚しても法律上、強制的に取り返すことはできず、交渉によって返還を求める手段しかなくなってしまうという。
もらい手も、過干渉を防ぐために過剰な要求はきっぱり断ることが必要だ。中途半端な合意は、後々のトラブルにつながりやすいからだ。