前職では、デジタル地図の作製に専念していた。子どもの頃からの地図好きが高じて、迷わず選んだ仕事だった。新しくできる道路の設計図を基にデジタル地図を拡充する。タイやマレーシアなど東南アジア10カ国の地図も中心となって作り上げた。
充実していたが、作るだけでは満たされない自分もいた。どれだけ優れた地図を作っても、それをうまく活用したサービスが増えていかなければ行き詰まるのではないか。地図の可能性を広げていける仕事をしたい。そんな思いに駆られていた時、今の会社から声がかかった。
地図を作る仕事から活用を生み出す仕事に変わったが、地図への愛は一貫している。地図がどのような場面で役立つのかを常に考え、新しいサービスを生み出すサポートに徹する。
「かつてはナビゲーションに過ぎなかった地図がこれまでにないサービスに生まれ変わる。こんなにワクワクする瞬間はありません。地図利用の可能性は無限大です」
(ライター・浴野朝香)
※AERA 2023年10月30日号