今回の王座戦は、電王戦でコンピューターのバグに気づいた上で勝ち、一矢報いてくれた永瀬拓矢先生が名誉王座になるか、藤井先生が八冠になるかという戦いでもありました。王座戦の挑戦者決定戦は一度負けたら終わりのトーナメント戦。挑戦者は無敗でなければならない。ものすごく高い次元のタイトル戦で、4局すべてすごく楽しみました。

 藤井先生は、終盤力が圧倒的だと思います。ボクシングでいえば、コツコツパンチを当てられてポイントを取られていたのに最後にガツンとくらわせてKOしちゃうような。8月の叡王就位式で藤井先生に花束を贈呈させていただいたのですが、なんかもう、すべてを吸収するようなオーラがすごかったです。

 この先藤井先生に望むこと……とにかく健康であってほしい。そして1局でも多く僕らがワクワクする対局を見せていただきたい。それだけですね、はい。

(構成/ライター・太田サトル)

AERA 2023年10月23日号