※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 水素が豊富に含まれた水はアンチエイジングに効果があるといわれており、さまざまな研究がおこなわれています。最近の研究で、老化防止に寄与するという結果が出てきたといいます。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、最新の研究結果をもとに解説します。

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 アンチエイジングの研究成果は大雑把に以下の三つに分けることができます。1.確実な効果が証明されているもの、2.効果が期待できるが確実ではないもの、3.効果がないもの。そのうち、多いのは、2の「効果が期待できるが確実ではないもの」です。試験管の中の成果であったり、ネズミの研究では効果が証明されているが、人間での研究では十分な証拠がそろっていない、というものが多数あります。今回は「効果が期待できるが確実ではないもの」の中の一つである、高濃度水素水について説明します。

近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師

 水素水は、文字通り水素分子(H2)が溶け込んだ水のことを指します。特に高濃度の水素が溶けた水素リッチな水素水(Hydrogen Rich Water、略してHRW)は、アンチエイジングの研究が進んでいます。

 これまで、HRWの摂取によって代謝が改善したり、シワが抑制されたりする研究報告がありました。最近の研究で、HRWが老化にどのような影響を与えるのか多角的に検討した報告がセルビアからあったので紹介したいと思います(文献)。

 この研究では、70歳以上の高齢者40人が参加し、HRW、すなわち水素が豊富に含まれた水を6カ月間飲むことで、老化の兆候にどのような影響があるかを調べました。具体的には、普通の水とHRWを毎日0.5リットルずつ飲んだグループに分け、その結果を比較しました。

 HRWを飲んだ人々では、テロメアと呼ばれる細胞の「老化時計」の長さが増加しました。テロメアは私たちの細胞が分裂するたびに少しずつ短くなり、それが私たちの体が老化する一因とされています。HRWを飲むことでテロメアが長く保たれたという結果は、HRWが老化防止に寄与する可能性を示唆しています。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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HRWが老化のさまざまな側面に良い影響を与える可能性