プロフィール/紀藤正樹(きとう・まさき)1960年11月21日、山口県宇部市生まれ。弁護士、第二東京弁護士会所属。リンク総合法律事務所所長。一般の消費者被害、宗教やインターネットにまつわる消費者問題、被害者の人権問題、児童虐待問題などに精力的に取り組む
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 13日、政府が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令を東京地裁に請求した。50年以上にわたり多数の被害を出してきた問題だが、とうとう解散に向けて具体的に動き始めた。同様に長年放置され、被害が拡大したのはジャニーズ事務所での性加害問題だ。旧統一教会の問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「共通点がある」と指摘する。

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――旧統一教会とジャニーズの問題について、共通点はどこにありますでしょうか。

 刑事事件になっていないという共通点があります。この問題は非常に重要なポイントです。

 旧統一教会は1980年代から霊感商法が問題になりましたが、60年代には既に学生をターゲットにした「原理研究会」の活動が活発でした。多くの学生が引きずり込まれ、「親泣かせの原理運動」と社会問題化しました。ところが旧統一教会の問題は刑事事件としては扱われてこなかった経緯があります。社会的な背景として、こうした問題は「家族の問題」で警察は介入できないという認識があったのだろうと思います。

 ジャニーズ問題も、60年代にジャニー喜多川氏の少年たちへのわいせつな行為が既に民事裁判でも問題にされています。80年代からはジャニー氏による性的虐待を告発する本が複数出版されました。旧統一教会と時期を同じくして起きていますが、ここでも警察は動いていません。

2回目の会見で質問に答えるジャニーズ事務所の東山紀之氏(2023年10月2日)
会見で話をする井ノ原快彦氏
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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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