広範囲に及んだ影響の責任は誰が取るべきか。前出の宿輪教授は言う。
「そもそも原因がはっきりしなければ、責任の所在も明らかにできません。まずは原因究明を急ぐ必要があります」
27年に全面刷新
利用者に発生した費用や被害をどう補償するかも今後の議論になりそうだ。
不具合のきっかけになった更新作業は、各行の設備やシステムの利用期間などに応じて順次行うもので、今回はその第一陣だった。更新作業は2029年まで24回に分けて実施する計画で、次回は来年1月を予定する。次回以降、復旧に用いた簡素化版のプログラムをそのまま使うか、それとも当初から予定するプログラムを改良するなどして用いるかといった方針は未定という。
さらに全銀システム自体も27年に全面刷新が予定されている。IT関連の技術開発のペースは速く、クラウド化や、複数のハードを統合運用する「仮想化」といった新しい技術の登場や、決済業務への銀行以外の企業の参入など、システムや業界を取り巻く環境の変化が見込まれる。更新や刷新にあたって備えるべきリスクも増えそうだ。前出の宿輪教授は言う。
「今回の問題は次のシステムにも影響を及ぼすでしょう。全銀ネットや金融機関、システムを扱う情報ベンターには慎重な対応が求められます」
(AERAdot.編集部・池田正史)