三菱UFJ銀行やりそな銀行など全国10の金融機関で他行への振り込みができなくなった問題で、不具合を出したシステムを運営する団体は10月12日、システムが復旧したと発表した。銀行側も、通常通りの取引ができるようになったという。ただ、不具合への対応や利用者への情報提供のあり方、原因の究明など課題は残る。
【写真】振り込みに遅延が生じていることを伝える、みずほ銀行の貼り紙はこちら
不具合が起きたのは、全国のほとんどの金融機関をつなぎ、資金をやり取りする「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」。全国銀行協会の傘下にある一般社団法人の「全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)」が運営する。一部報道によると、金融庁は全銀ネットに対し、資金決済法に基づく「報告徴求命令」を出す方針だ。
「結局振り込み処理はしたものの本日中に着金せず」「いろんな会社のSE(システムエンジニア)が修羅場かもしれん」「『正常に動いて当然』という認識、そろそろ卒業したほうがいいのかも」
今回の問題をめぐりSNSでは不安の声が飛び交った。
全銀システムに詳しい帝京大学の宿輪純一教授は「一言で言えば、全銀協が持っている、国内の振り込みをつかさどるシステム。顧客の取引に影響が出る障害が起きたのは1973年の稼働以降で初めてと言われています」と話す。
銀行や利用者の取引を支える大事なインフラであるだけに、影響は大きい。加えて、障害が発生した10日は企業の取引の決済や給与振り込みなどが集中する「五十日(ごとおび)」だった。