所属チームから戦力外となった西川遥輝(左)と小林慶祐(右)(写真提供・東北楽天ゴールデンイーグルス/阪神タイガース)
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 レギュラーシーズンも終わり、来季に向けての動きも活発になってきたプロ野球。来季の契約を結ばない、いわゆる“戦力外”の一次通告期間は今日13日までであり、現時点で合計90人以上の選手の名前が発表された。中には育成選手として再契約を結んで球団に残るケースも含まれていると見られるが、大半の選手は決断を迫られることになる。ただ中には他球団で活躍の余地がある選手もいるはずだ。

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 実績という意味で最もその動向に注目が集まっているのが、楽天を自由契約となった西川遥輝だ。2021年のオフには日本ハムを“ノンテンダー”という形で退団。楽天に活躍の場を求めたものの、今年はわずか35試合の出場で13安打に終わっている。しかし楽天入団当時から同じタイプの左打ちの外野手が多いことが懸念されており、チーム事情にもマッチしていない印象は否めなかった。

 昨年は19盗塁をマークしているように持ち味であるスピードはまだ健在で、今シーズンも二軍では63試合に出場して打率.369と格の違いを見せつけている。一軍に定着したのが早かったためベテランという印象が強いが、今年で31歳という年齢を考えるとまだまだ余力はあるはずだ。今年のドラフト候補は外野手に有力選手が少ないだけに、思ったように補強できなかった球団が獲得に乗り出す可能性は十分にあるだろう。

 西川と同じ外野手でもう1人注目なのが高山俊(前阪神)だ。明治大では東京六大学のリーグ記録を更新する通算131安打を放ち、ドラフト1位で阪神に入団。ルーキーイヤーにはいきなり136安打を放ち新人王にも輝いた。しかし、その後は成績が低迷。2019年に73安打を放って復活の兆しを見せたかに思われたが、今シーズンは1度も一軍に昇格することができずに阪神のユニフォームを脱ぐことになった。

 ここ数年の成績とプレーぶりを見るとNPBでの現役続行は微妙な状況と言えるが、二軍では9本塁打を放っており、復調の兆しがあることも確かである。大学での実績と、1年目の活躍が鮮烈で、復活を期待するファンの声も多いだけに、最後のチャンスを与えようという球団が出てきてもおかしくはないだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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