※写真はイメージです(写真/Getty Images)

介護の現場でも、パワーハラスメント、モラルハラスメントなどが起きているといいます。そう聞くと、「ハラスメントをするなんて考えられない」と思う人がほとんどでしょう。しかし、気づかないうちに、誰もがハラスメントの加害者になる可能性があるといいます。介護アドバイザーの髙口光子さんに現状をうかがいました。

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介護の現場にも暴言・暴力のハラスメントが

 介護の現場でも、パワハラやモラハラなどのハラスメントが起きています。サービス利用者(本人や家族)によるハラスメントに該当する行為はさまざま。たとえば要望が通らないと大声を出す・机をたたく、気に食わないと介護という仕事をさげすむような発言をする、家族の分の食事の用意を要求するなど契約外の仕事を無理強いするなど。閉ざされた空間で1対1の介護を行う在宅介護ではより深刻です。

元気がでる介護研究所代表・髙口光子

 ハラスメント自体、まだ新しい考え方で、とくに親の介護に直面している50代、60代の世代では浸透度はそれほどではないようです。ハラスメントについてのニュースを見て、「これも当てはまるのか」と思ったことは、だれでも一度や二度はあるのではないでしょうか。

 ハラスメントが何を指すのかを知らなければ、私は、介護サービスを利用する人だれもが、ハラスメントをしてしまう可能性があると思っています。

こんな人はハラスメント加害者になる?

 今まで介護の現場で働いてきて、ハラスメントの加害者になりやすい人にはいくつかの傾向が感じられます。

 一つは、男尊女卑で古い価値観を捨てられないタイプです。外で仕事をして社会に貢献している男性はえらい、それに比べて家の中で家事や介護しかできない女性は価値が低い、お金を稼ぐ男性は尊敬されるべきで、雑用のような介護の仕事で生計を立てている人は自分より地位が下。こういう考えの人は、とくに女性の介護スタッフに無理難題をふっかけ、ばかにするような言動を繰り返します。

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高口光子

高口光子

高知医療学院卒業。理学療法士として病院勤務ののち、特別養護老人ホームに介護職として勤務。2002年から医療法人財団百葉の会で法人事務局企画教育推進室室長、生活リハビリ推進室室長を務めるとともに、介護アドバイザーとして活動。介護老人保健施設・鶴舞乃城、星のしずくの立ち上げに参加。22年、理想の介護の追求と実現を考える「髙口光子の元気がでる介護研究所」を設立。介護アドバイザー、理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員。『介護施設で死ぬということ』『認知症介護びっくり日記』『リーダーのためのケア技術論』『介護の毒(ドク)はコドク(孤独)です。』など著書多数。https://genki-kaigo.net/ (元気がでる介護研究所)

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