博多華丸(左)と博多大吉(撮影/門間新弥)

 福岡の顔から全国のお茶の間の顔へ──。やわらかで自然体の笑いは、老若男女から親しまれている。コンビ結成33年を迎えた2人はどのような道を歩んできたのか。まずは福岡での若手時代を振り返る。AERA2023年10月16日号より。

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――言うまでもない、福岡の顔。いまや、それを通り越し、すっかり全国のお茶の間、朝の顔として定着した。

 博多華丸・大吉のふたりが、生放送で硬軟取り混ぜさまざまな話題を平日の朝に届ける生活情報番組「あさイチ」(NHK総合)は、二人の親しみ深いキャラクターを大きく印象づけ好感度も不動の高さとなった感がある。しかし、そのオファーは、はじめは断るつもりだった。

博多大吉(以下、大吉):もちろんやりたい気持ちもありましたが、朝のNHKの生の番組を、漫才コンビが、しかも博多のコンビが受けもつなんて、と。でも、そんなビッグチャンスを吉本(興業)が逃すわけない。断るごとに出てくる吉本の社員さんが偉くなってきて。「最終的に誰が出てくんの?」って聞いたら「社長が出てきます」って。あ、これはもう受けないといけない話なんだなと。

――博多弁をベースに、ある意味思ったままを口にすることがボケとなる華丸、対してやんわりとした口調でありながら的確なツッコミをみせる大吉。

 いわゆる“優しいお笑い”ともまた違う、自然体の笑いは、ふたりのキャラクター性とともに、多くの人に親しまれることとなった。

 出会いは1989年。福岡大学の同期で、落語研究会に入ったことだった。翌年、コンビとして地元のオーディション番組に出場、優勝は逃すものの、ちょうど立ち上げのタイミングだった福岡吉本の1期生となった。

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