会見には約300人の報道陣が詰めかけた。「1社1問」のルールの中、特定記者を指名しない「NGリスト」がつくられていたことが明らかに(撮影/写真映像部・松永卓也)

「NGリスト」の存在

「東山氏は会見で、ジャニー氏が行っていた性加害を『見て見ぬふりと言われたらそれまで』と言いました。感度が鈍く、リスク管理のできない人がトップに立つと、会社が不幸になります」

 さらに八田名誉教授は、「対策が後手後手に回っている」と指摘する。

「前回の会見から、スポンサー離れが次々と起きています。改革はスピード感を持って行うことが重要ですが、早く手を打たなかったため外堀を埋められています。東山氏らに、組織を引っ張っていく経験値も知識も乏しいからです」

 そして、会見後の4日、特定記者を指名しない「NGリスト」の存在が明らかになった。

 八田名誉教授は、ジャニーズ事務所は自社の関与を否定しているが、コンサル会社に任せっぱなしで、東山氏ではガバナンスは利かないことがはっきりしたと指摘。一日も早く、東山氏に代えて外部から高い倫理観を持った経営のプロを呼び社長に就任させることが重要と説く。

「外部から来た人間は荒唐無稽なことを言うかもしれません。しかし、その人が財務や法務、そしてエンターテインメントのプロも一緒に連れてくるので、会社は確実に改善します。東山氏は例えば3年間、スマイルアップの社長として補償に専念しながら経営のノウハウを学び、その後で新会社の後継社長に就任するのが理想的です。今はお家の一大事。組織防衛をしている場合ではありません。一刻も早く、真の改革が必要です」

AERA 2023年10月16日号より

(編集部・野村昌二)

AERA 2023年10月16日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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