ニッセイ基礎研究所の資料などをもとに作成。「HD」はホールディングスの略。松本油脂製薬は10月4日終値

 ニッセイ基礎研究所によると、23年度に株式分割を発表したのは10月3日時点で70件を超え、前年度の同じ時期を2~3割上回るペースで推移する。ただし、前々年度の21年度と大体同じくらいのペースという。研究員の森下千鶴さんは言う。

「発表件数そのものは、今年度に突出して増えているわけではありません。ただ今年度は最低投資金額が100万円以上の高額な銘柄が目立ちます。そのため、市場の注目を集めやすい。東京証券取引所が上場企業に対して示した姿勢が依然、意識されているのだと思います」

 東証は昨年10月、「望ましい投資単位」として「5万円以上50万円未満」を示すとともに、最低投資金額が100万円以上の38銘柄のリストを公表。投資単位の引き下げを求めた(その後、下限の「5万円以上」は撤廃)。

 以来、衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングやオリエンタルランド、信越化学工業といった企業が相次いで株式分割を行った。東証によれば、今年9月末時点で全上場企業のうち93.7%が最低投資金額50万円を下回るまでになったとしている。

 とはいえ、東証が「リスト」を示した22年10月26日時点の日経平均株価は2万7431円だった。今年10月6日の終値は3万994円で、その時よりも1割近く上がっている。

 相場全体の株価が底上げされたこともあり、足元で最低投資金額が100万円を上回る銘柄は40を超える(上の表)。東証のリストに掲載された38銘柄のうち、13社は株式分割などの対応を行うなどして、すでに100万円を下回る水準になっているから、最低投資金額が新たに100万円を超えるようになった銘柄は十数社に上る計算だ。

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なお300万円を超えるファーストリテイリング