これまでのじゃがりこ(左)と“細いやつ”

 クレジットカード会社「モデル百貨」のメディア「MoneyGeek」が行ったアンケート(2023年)では「つい買ってしまう推し菓子ランキング」で2位にランクインしている。また、ティーン向けのマーケティング支援などをするアイ・エヌ・ジーが行った「高校生が選ぶ好きなお菓子ランキング2022」では1位を獲得しており、その人気の高さがうかがえる。

■“唯一無二”の菓子

“その道のプロ”が出るバラエティー番組「マツコの知らない世界」にも出演した「お菓子勉強家」の松林千宏さんは、じゃがりこを「唯一無二のお菓子」と評する。

「袋に入ったスナック菓子が主流の時代に、カップに入れて販売するというのは新たな試みでした。また、外で食べるという“屋外消費型”のお菓子としても人気を獲得していきました」

 松林さんは「細いやつ」についてこう分析する。

「初めて聞いたときは『細いってどういうこと?』と思っていましたが、小麦粉でできた麺類で言えばうどん、ひやむぎ、そうめんがあるように、いろんな太さがあっていいのではないかと考えると、「細いじゃがりこ」という商品にも納得がいきました。同じく人気菓子のポッキーにも極細がありますし、通常版とのすみ分けもうまくできるのではないかと思います」

 記者も実際に買ってみた。封を開けてみると、確かに細い。太さが変わっては、じゃがりこらしさがなくなってしまうのではないか、という少し懐疑的な気持ちで口に運んだ。

見た目もかなりスマートに

 カリッとした食感と豊かなジャガイモの風味、そしてちょうどいい薄い塩味。普段食べ慣れているじゃがりこと変わらぬ味が口に広がった。細いので食べやすさも増している。一本だとなんとなく物足りなさを感じるが、そこは全体の量でカバーされていると思った。ちゃんとじゃがりこだった。

 松林さんは、

「近年、お菓子において重要なのはワクワク感を演出できるかどうか」

 と説明する。

「消費者をワクワクさせることがヒットにつながるひとつとなっており、体験の要素がより重視されてきています。その点、『細いやつ』は、『どんな食感なんだろう?』『試してみたい!』と思わせますし、また、食べた後も周囲と『あれ食べた?』という体験を共有したいニーズの高まりにも応える商品になっていると思います」

「細いやつ」はじゃがりこの新定番となるのか。

(AERA dot.編集部・唐澤俊介)

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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