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「流星の輝きに人気再燃 日本発祥ガラスペンの世界」という見出しで、朝日新聞がガラスペン市場の活況を伝えたのは2021年5月。その活況は今も続いている。記事には、「様々な色インクを楽しむブームが起こり、万年筆と違ってペン先を水で洗えばすぐに違う色を使えるガラスペンが、インクを楽しむことに特化したペンとして、特に女性の間で人気を得た」のが7年前だとあるので、すでに10年近く、ブームが続いていることになる。

 おさらいしておくと、ガラスペンは、ガラスでできた「つけペン」。つけペンとは、ペン先にインクをつけて文字などをかく筆記用具のことだ。ガラスペンにインクをつけると、ペン先に施された溝をつたってインクが吸い上げられ、紙が触れることでペンが吸い上げたインクを紙が吸って、文字を書いたり絵を描いたりすることができる。

 液体が勝手に吸い上げられる「毛細管現象」を利用した構造なので、基本的にはペン先からインクが垂れてしまうことはない。ペン先は繊細だが、その分かき心地は味わい深く、紙質によっても異なる感触が楽しめる。現在は各社から、1冊のなかに異なる質の紙をとじ込んだ「なぞりがき」の練習帳が数多く出版されている。

 おそらくはあっという間にやってくるグリーティングカードのシーズンにガラスペンを使ってみたいと考えるなら、始めどきは「いま」だ。出版されたばかりの『かきこみ式 ガラスペンで楽しむなぞりがき帖』から、今さら聞けないガラスペンの「超基本」をまとめておきたい。

 ガラスペンを始めるにあたり、用意するべきものは以下の6点。

【ガラスペン】
好きなものを用意する。ペン先の太さによって線の太さも変化するので、何種類かを使い分けるのも楽しい。

【インク】
好きな色のインクを用意する。染料や顔料など、種類によって耐水性に差がある。

【ペンレスト】
書いている途中で休憩するときに、ペンを置くためのもの。ガラスペンが勝手に転がってしまうのを防ぐことができる。

【水を入れたカップ】
ガラスペンを洗浄するために、水を入れた容器を用意する。ガラスペンのペン先があたってしまっても傷つかないように、硬い素材のものよりもプラスチックや紙のカップのほう安心だ。

【ティッシュ】
洗浄したガラスペンをふくために使う。なぞりがきをしたページの色移りを防ぐために使うこともできて便利。

【試しがきの紙】
インクをつけた直後のかき始めは、インクがたっぷり出すぎてしまうことがある。試しがきできる紙を用意しておくといい。

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染料系インクの「にじみ」を楽しむ