生魚を食べるときは気をつけたい(写真はイメージ)=gettyimages
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 猛暑が過ぎて秋の気配が見えてきたが、実は秋は食中毒が多い季節だ。弁当を持って行楽に出かける時期であるほか、10月は旬を迎えた魚を食べる機会も増えることから、魚の寄生虫「アニサキス」による食中毒が多いのだ。胃壁に突き刺さって激しく痛むほか、アレルギー症状も発症するアニサキス。どう予防すればいいのか。

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 アニサキスは線虫の一種。体長2~3cm、幅は0.5~1mmほどで、白い糸のように見える。食中毒の「アニサキス症」は、主に魚の体内にいる生きたアニサキスを食べてしまうことで発生する。刺身を食べる日本人は、特にリスクが高いと言える。

  アニサキスに詳しい東京海洋大学の嶋倉邦嘉准教授によると、アニサキスの成虫はイルカやクジラなどの海洋哺乳類に宿る。その卵は海中で孵化し、オキアミなどに食べられて「第3期幼虫」と呼ばれる姿になる。このオキアミを魚などが食べ、魚の腹腔内に入る。その魚が死ぬと、筋肉に入り込むこともある。

 さらにその魚を人間が食べると、胃液では死なず、胃壁や腸壁に潜入して動き回り、激しい腹痛や嘔吐などの症状を引き起こすのだ。

 アニサキスは150種類以上の魚に寄生するとされている。嶋倉准教授は、

「どんな海産魚にもいる可能性があると注意しつつ、さらに、寄生する確率が高い魚を知っておくことが重要です」

 と指摘する。
 

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怖いのはサバだけではない