圧倒的男性優位の日本
そんな屈託と絶望を抱えつつ、あるテレビ番組に出演した私。54人全員男性という絵面(えづら)について「おぞましい」とコメントしたところ、自民党国会議員らが「男性差別だ!」とSNS上で吹き上がっていたらしい。
いったいなんの寝言だろう?
【おぞましい】ぞっとするほどいやな感じがするさま(「明鏡国語辞典」)。
全く大したことは言っていない。それともあれか? 「純子いやだぁ。ぞっとしちゃうぅ」とでも言えば良かったのか? あと、「男性差別」ね。これは、しようたって、できない。
【差別】特定の個人や集団に対して正当な理由もなく生活全般にかかわる不利益を強制する行為をさす(「ブリタニカ国際大百科事典」)。
ジェンダーギャップ指数世界125位、圧倒的男性優位の日本で、女性がどうやって男性に不利益を強制できるというのさ? 今現在も女性がどれほどの不利益を強いられているか、知らないとは言わせない。何か弁明があるなら、貴兄が履いてるその高下駄(げた)を脱いでからにしてくださいます? ついでに、もし仮に圧倒的女性優位社会があったとして、そこで女性しか要職に登用されなかったら、私は必ず「おぞましい」と言う。当たり前だろ、そんなの。
そもそもそんなに差別に敏感な方々ならば、アイヌ民族らに関する差別的投稿は「人権侵犯」と札幌法務局に認定された杉田水脈・自民党衆院議員(昨夏、岸田内閣の総務政務官に!)の辞職を求め、きっと大いに声をあげてくれることだろう。
心の底から期待している。(朝日新聞編集委員・高橋純子)
※AERA 2023年10月9日号