日本の国際的地位が低下している。2012年には日本はG7の中で上位グループだったが、いまや最下位に転落した。経済学者の野口悠紀雄氏は、「いまの状態が続けば、日本は、先進国の地位を失う可能性が強い」と指摘する。『プア・ジャパン 気がつけば「貧困大国」』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。
【意外なグラフ】日本のGDPは増えてきたが、一人あたりは…?
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一人当たりGDPで韓国や台湾とほぼ同水準
2022年は、日本が貧しくなったことが痛感される年になった。急激に円安が進んだため、様々な指標で日本の国際的地位が下がったからだ。
10月に公表されたIMF(国際通貨基金)のデータによると、2022年には、台湾の一人当たりGDPは4万4821ドル(世界第24位)となり、日本の4万2347ドル(27位)を超えた。ただし、2023年に公表されたIMFのデータでは、台湾は、日本をわずかに下回った。
10年前の2012年をみると、日本の一人当たりGDPは、韓国の1.9倍、台湾の2.3倍だった。
2013年に異次元金融緩和が導入されて円安が進み、日本の地位は顕著に低下した。それが2019年まで続いたのだが、2020、21年に、韓国、台湾が日本に急迫したのだ。