「あまちゃん」は東日本大震災の2年後に東北の当時の現状を描いた作品でもある。「当時の宮藤さんのインタビューを読ませてもらうと、『震災の後、笑える作品を作っていいんだろうか?と悩んだ』という話をされていて。私自身も震災からしばらくは思考停止してしまって、アキが作品のなかで言っていたように、“何をしたらいいかわからない、出来ることなんて何もない”と思ってたんです。でも、『あまちゃん』に出演させてもらって、アキを演じることで、元気を届けることができたらいいなと思うようになりました」
今年は放送から10年の節目の年。ドラマの再放送と同時に色々なイベントも行われた。
2023年9月14日には東京・新宿文化センターで「あまちゃん10周年スペシャルコンサート」を開催。「あまちゃん」の音楽を担当した大友良英が率いるスペシャルビッグバンドとともに、のんは劇中歌「暦の上ではディセンバー」「地元に帰ろう」「潮騒のメモリー」などを披露した。
「『あまちゃん』の曲は歌詞が面白くて、“どうしてこの曲で感動するんだろう?”と不思議な気持ちになりますね(笑)。宮本信子さんも出演されて、久しぶりにお話させてもらって。気持ちが10年前に戻ってしまって(笑)、すごく緊張しちゃいました」
監督・脚本から衣装、美術等の制作までチャレンジした映画づくり
「アキちゃんはKY(空気を読めない)なところがあって(笑)。周囲の目を気にせず、どんどん突き進んでいくポジティブなエネルギーには、私自身も共感します」
その言葉通り、「あまちゃん」後の彼女は、俳優/アーティストとして精力的に活動を続けている。2019年には初の監督作品「おちをつけなんせ」及び、その制作過程を追ったドキュメンタリー作品『のんたれ(I AM NON)』をYouTube Originalsで配信。
「“岩手県の遠野に滞在して、そこで出会った人たちや自然から受けたインスピレーションをもとに映画を作る”という企画だったんですけど、ぜひやりたい!と思いました。自主制作で映画を撮っていた友人の影響もありますね。1 回だけ撮影を手伝わせてもらったんですけど、それがめちゃくちゃ楽しくて。その子が私に、“脚本を書いたら、絶対面白いと思う” と言ってくれて大きなきっかけになってます」