
秋になると中学受験本番がぐっと近くなったのを感じるようになる。とはいえやるべきことはまだまだ山積み。どうやって乗り越えたらいいのだろうか。子ども4人が東大理IIIに合格した「佐藤ママ」こと佐藤亮子さんと、中学受験カウンセラーの「きょうこ先生」こと安浪京子さんが語り合った。AERA 2023年9月25日号より。
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安浪(以下安):今から何を重点的にやるべきか迷うご家庭は多いと思いますが、私は子どものレベルに合わせて提案しています。まず、最難関校狙いで、塾ではいわゆる冠特訓という学校名のついた志望校別特訓に通っているとしたら、塾はそれこそ威信をかけて対策プリントを作っていますから、それに食らいついていくことが最優先です。冠特訓がなかったり、入れなかったりした場合で最難関校や難関校狙いなら、志望校の分析を家でやる必要があります。
佐藤(以下佐):うちも普段は塾の授業が基本でした。過去問を私と二人でやっていたのは、塾の宿題が終わったあとです。
安:中堅校以下を志望しているお子さんの場合は何よりも基礎の徹底が必要です。つまり平常授業を大切にしてほしいです。今は一部の塾を除いて授業は総ざらいになっていますから、基礎を復習できます。そもそも大抵の学校は7割取れれば合格になるんです。中堅校なら、その中の5割ぐらいが塾のテキストに出てくる基本問題です。残りの2割はその学校ならではの特色ある問題の対策が必要になりますが、5割が平常授業でやっていることで網羅できるんです。
佐:確かに、親御さんたちは全部正解させようとしてしまいますが、中学でも大学でも7割取れれば合格ラインですからね。取れるものをきっちり取ることが大事ですね。
暗記ものは点数になる
安:ただ平常授業では、総合問題で復習していくことが多いです。たとえば社会の歴史なら外交や文化史など横断的な内容になります。ですから江戸時代だけ、といったターゲットを絞った復習は家で時間をとってやるしかありません。サピックスの「コアプラス」や四谷大塚の「四科のまとめ」のような基礎問題が単元ごとにまとまっている問題集を最低でも2周ぐらいする気持ちで徹底的に基礎を入れ直した方がいいでしょう。それをやらないと過去問も点数が取れません。