この記事の写真をすべて見る

低価格でも高性能フルサイズ対応超望遠ズーム

 レンズ枚数を減らした光学構成や鏡筒の小型化により、先行のスポーツラインに比べ約1kgの減量をしたコンテンポラリーラインの150~600mm超望遠ズームレンズだ。開放F値のF5~6.3や、各焦点距離位置のズームロック、コンティニュアスAF時でもMF操作可能なマニュアルオーバーライド(MO)モード、3種類のフォーカスリミッター、2モードの手ブレ補正等の諸機能は同様に搭載している。軽量化による犠牲は、フォーカスリングの簡略化と最短撮影距離、そして鏡筒全体を防塵・防滴にしなかったこと。超望遠レンズという性質を考えれば、最短撮影距離が20cm長くてもさほど気にならないし、マウント部にラバースカートは残っているのでゴミなどの侵入を防げる。描写力も、約10万円の価格差があるスポーツラインの150~600mmと比べても、見劣りするような決定的な弱点は見受けられなかった。軽量化モデルとはいえ、手持ち撮影にそれなりの腕力が必要な1930gの重厚な鏡筒にも廉価な印象はなく、満足度の高いレンズだ。

APS-C機と組み合わせ、960mm相当(35mm判換算)の画角で十数m先の猿と目が合った瞬間を切り撮った。逆光線だが絞り開放でもシャープでコントラストも高い描写性能で、皮膚の質感や細かな体毛も緻密に再現できる。なお大きくボケた背景は五分咲きの桜●キヤノンEOS 7D MarkII・絞り優先AE(絞りf6.3・640分の1秒・プラス⅔補正)・ISO800・AWB・RAW
APS-C機と組み合わせ、960mm相当(35mm判換算)の画角で十数m先の猿と目が合った瞬間を切り撮った。逆光線だが絞り開放でもシャープでコントラストも高い描写性能で、皮膚の質感や細かな体毛も緻密に再現できる。なお大きくボケた背景は五分咲きの桜●キヤノンEOS 7D MarkII・絞り優先AE(絞りf6.3・640分の1秒・プラス⅔補正)・ISO800・AWB・RAW



デザイン
三脚座を外して付属のラバーキャップを装着すれば、さらに約100g軽くなる。外したところの凹凸が埋まり、外観がスッキリするだけでなく保持する際に手のひらにあたる感触もよくなる

使用感・操作感
スポーツラインのように直進ズーム的には使えない。細いフォーカスリングは少々操作しづらい。なお、テレ端は開放F6.3だが、AFがf5.6対応のEOS 6Dでも特に問題なく使用できた

描写性
フルサイズ機では全焦点距離において開放絞りでの周辺光量不足が目につくがAPS-C機では全く問題ない。また、2段も絞れば周辺光量不足解消とともにシャープな描写力を発揮する

◆宇佐見 健


* * *
●焦点距離・F値:150~600mm・F5~6.3●レンズ構成:14群20枚(SLDガラス3枚、FLDガラス1枚)●最短撮影距離:280cm●最大撮影倍率: 1:4.9●画角:16.4~4.1°●フィルター径:Φ95mm●マウント:シグマ用、キヤノン用、ニコン用●大きさ・重さ:Φ105×260.1mm・1930g●価格:税別15万円(実売 税込み12万9600円)