実際に介入に踏み切るまでには、市場参加者に為替相場の水準を確認する日銀の「レートチェック」が行われることも想定されるという。昨年9月の円買い・ドル売り介入の際には、レートチェックは約1週間前に実施された(上の表)。

 この時も、介入が近いタイミングでは「あらゆる措置を排除せず、必要な対応を取る準備がある」(22年9月8日、神田財務官)、「(為替介入を)やるときは間髪入れずに瞬時に行う」(同14日、鈴木財務相)などトーンが上がっていることが分かる。

 斎藤さんによると、為替介入は必ずしも為替レートの水準だけで判断しているわけではないという。

 あらかじめどんな水準で介入が行われるかが市場関係者の間に浸透してしまうと、実際に介入した時の効果が薄くなりかねないからだ。その水準前後で投機的な取引が行われたりする恐れもある。

「市場ではこれまでの経験から、投機筋のポジション(持ち高)の傾きのほか、オプション取引のボラティリティーや『買われ過ぎ』『売られ過ぎ』を示す投資指標、変動幅といった、いわゆる変動率の高まりなどを含めて総合的に判断すると考えられています」(同)

 円安・ドル高が進めば輸入価格の上昇を通じて物価のさらなる値上がりへの心配も高まる。当局の為替相場に対する態度は、市場関係者だけでなく、国民にとっても大きな関心事だ。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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