マンガ/上大岡トメ
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 寿命と健康は違う。

 わたしは、父も弟も医者。学生時代、父が開業した医院にいると、いろんな患者さんと知り合いになった。

 みんな、いろいろ話かけてくれる。若い日のこと、孫のこと、ふだんの生活のことなど話題は、様々だった。

 そして、「心臓が悪い」「足腰が弱くなった」と、体の話になって、

「もう、先も短いし……」

「そのうちお迎えが来るのよね」

 という話になる。

 ところが、そんな人にかぎって、なかなかお迎えは来なかった。

 まだまだ、90歳を過ぎても元気な人もたくさんいる。

 それどころか、実家に帰って、そんな人たちに出会うと、

「由里ちゃんも、体に気をつけてね」

 と、30歳も40歳も年下のわたしを気遣ってくれたりする。

 一方、「なんでこの人が……」と、思うほど、あっけなく逝ってしまった仲間もいる。

 わたしが高校生の時、とっても仲良かった男性。

 30過ぎで、がんで亡くなってしまった。

 仕事していた仲間、40歳半ばで自殺した。

 一緒にドラマの撮影スタッフに加わっていた男性は、事故であっけなく逝ってしまった。

 そんな人、数えたら、たくさんいる。

 阪神・淡路大震災、東日本大震災を含め、ある日、突然、思ってもいない形で命を奪われた人はたくさんいる。

 寿命と健康なんてまったく関係ない。

 いつまでも未来が続くと思っていたら大間違い。

 突然、命を奪われたけれど、「明日、この世からいなくなる」なんて思ってもいなかった人たちがいることをわたしたちは、意識しなければならないと思っている。

 だから、わたしは、講演で言う。

「みなさんが生きている、今日1日は、誰かが生きたかった1日かもしれないんです」

 という話をする。

 わたしの知り合いの男性。彼は、30代で会社を上場させた。

 そんな彼を世間の人たちは、「すごい」「かっこいい」と言う。

 でも彼は、こう言う。

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