自民党役員会に臨む小渕優子氏=2023年9月12日

 岸田文雄首相(自民党総裁)の内閣改造と党役員の人事が固まってきた。今回注目されていたのは、小渕優子・自民党組織運動本部長の処遇だ。戦後最年少34歳9カ月で初入閣を果たすなど順風満帆な政治活動を送ってきたが、2014年に政治資金規正法違反が発覚して以降は、表舞台となる内閣や党の主要な役職から姿を消した。小渕氏の起用について批判の声が根強くあるが、東京新聞の望月衣塑子記者は「期待する」という。その心は?

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 9月12日、新聞各社で小渕優子氏が選挙対策(選対)委員長に起用されることが報道された。選対委員長は自民党4役の一つで、現職からは「昇進」の位置づけだ。

 報道後、SNSでは〈ドリル優子が選対委員長って国民笑かしにきてるの?〉、〈こんな世の中、間違ってるだろ〉、〈過去を無かったことにする自民党のやり方は、社会の倫理観を捻じ曲げる〉などと批判の声があがった。

 小渕氏は小渕恵三元首相の娘で、2008年に初入閣し、14年には2度目の入閣を果たした。しかし、政治資金規正法違反が発覚。政治資金収支報告書に約3億2千万円もの虚偽記載があったとして、元秘書ら二人が起訴された。小渕氏は嫌疑不十分で不起訴だった。15年に元秘書ら2人に対し有罪判決が出ている。小渕氏は「事件について何も知らなかった」などと釈明していた。

 ちなみに、東京地検特捜部が家宅捜索した際、会計書類を保存したパソコンのハードディスクがドリルで破壊されていることがわかり、その後は「ドリル優子」とネットで揶揄される対象になっていた。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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小渕氏が日中関係の要に?