2015年10月20日、改めて記者会見を開き謝罪をした小渕優子氏。唇をかみしめて記者の質問を聞く

 この事件以降、小渕氏は内閣や党の主要な役職から姿を消したが、21年に党組織運動本部長に就任。9年間、要職から遠ざかったことで「みそぎは終わった」という意見が党内で出ており、今回の岸田首相の抜擢人事につながったと見られている。

 SNSなどでの批判の声とは逆に、小渕氏の地元・群馬県での人気は依然として高い。不祥事発覚直後の14年12月の衆院選でも、選挙区の7割強の得票で圧勝した。有権者からは「優子ちゃん」などと呼ばれ慕われており、「不祥事に見舞われたが、もう一度政治の表舞台で活躍してほしい」と小渕氏びいきの声が根強い。

 小渕氏の起用について、東京新聞の望月記者は「過去の事件について改めてきちんと謝罪と説明をすることが大切だ」とした上で、「これまで女性議員と言えば、野田聖子氏や稲田朋美氏らの名前がよく上がっていました。ここで小渕さんが出てくるのは世代交代のような印象もあり、良いのでは」との見方を示す。

 そして、対中関係を巡る小渕氏の役割に注目しているという。

 小渕氏は日中友好議員連盟の事務局長を務めている。現在、日中の議員交流はストップしているが、今年3月には呉江浩駐日大使と面会し、議連の訪中などについて意見交換をしたと見られている。

 望月記者は小渕氏への期待について、こう語る。

「8月には日米韓の安保強化が発表され、中国が激しく反発し、関係が悪化しています。また、福島第一原発の処理水の放出に対し、中国が日本産の水産物を全面禁輸したことで、自民党の中では嫌中感が高まっています。かつては親中派の議員が日中関係が厳しいときでも対話を通じて関係の改善に向けて動いてきましたが、今では影響力が下がっています。対中関係を重視する小渕氏がいかに党内の流れを変えられるか、手腕が問われるところです」

 今回の抜擢で、「ドリル優子」の汚名返上となるか。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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