「高いROEは、利益を稼ぎ出す力があることの証し。しかも、ROEから株主資本コスト(株主が期待するリターン)を差し引いた数値であるエクイティ・スプレッドがプラスという基準を定めており、株主の期待を超えて利益を稼ぐ力がある企業を選んでいることを意味しています」
補足すると、ROEは純利益(税引き後の純粋なもうけ)を株主資本(株主から調達したお金)で割って算出した数値だ。この数値が高いほど、株主から託された資金を活用して効率的に利益を稼いでいると判断できる。
一方、PBRが1倍を超えているという二つ目の選定基準を採用したことも、極めて画期的だという。
PBRとは、その企業の純資産(負債を差し引いた保有資産)に対し、株価が何倍に達しているのかを示す指標だ。
「PBRはその企業に対する株式市場の評価です。PBRが高いほど、評価が高い(純資産を大幅に上回る株価になっている)と言えます。ROEが高くてもPBRが低ければ、稼ぐ力以外の何らかの理由で市場の評価が厳しくなっています」
ただ、残念ながら算出が始まってから最初の1カ月間は、3.1%の下落という結果に終わっている。これに対し、TOPIXは0.8%の下落にとどまった。図らずも、この期間中には新指数に採用されなかったトヨタやメガバンクなどの株価上昇が目立ったことが背景にある。
上昇が顕著だった銘柄の多くには、PBRが低いという共通点があった。東証は今年3月に、PBRが低い企業に対し、改善策の開示・実行を要請している。改善(PBRの上昇)策とは、株価の浮上に結びつくものだ。
中長期的には
こうしたことから、株式市場では低PBR銘柄が物色される傾向が強まっていた。もっとも、こうした株式市場における流行(物色の傾向)は長期化するものではない。短期的にはTOPIXのほうが優勢な局面が訪れても、中長期的にはJPXプライム150のほうに優位性があると井出さんは指摘する。