自分のスマホに何度も同じ広告が表示されるは、リターゲティング広告というしくみがあります。リターゲティング広告とはWebサイトを訪問したことのあるユーザーに配信される広告のこと。過去にサイトでチェックした商品の広告が、自然に何度も表示されるしくみになっています。
マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所・研究員の橋本之克(はしもと・ゆきかつ)さんによると「人は、同じ商品を繰り返し見ると、その商品に好感を抱くようになる性質があり、この心理を行動経済学では『ザイオンス効果』と呼んでいます。企業はこの心理が働くように同じ広告を意図的に出稿している」という。橋本さんの著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から「ザイオンス効果」の解説を抜粋して紹介する。
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ある対象への単純な接触(目にしたり耳にしたり)の繰り返しによって、その対象への好感度や印象が高まる心理的バイアスを「ザイオンス効果」と言います。これを提唱したアメリカの心理学者ロバート・ザイオンスの名前がもとになっています。
よく会う人や、何度も耳にする音楽に好感を抱くのも、『ザイオンス効果』の影響です。テレビCMを多く放送して視聴回数を増やそうとするのも同様で、商品や企業の好感度を高めるためです。
商品やサービスの販売促進で、テレビCMを何度も見せること、SNSでの配信、何度も接触するネット広告などは、繰り返し試聴させようとするものです。
マスメディアによる広告以外では、連続ドラマの主題歌、広告の最初や最後に入るサウンド・ロゴ、店舗で何度も流れる音楽なども、繰り返し聞くことで好感を抱くようになります。