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 「10%割引」と「10%ポイント還元」は、どちらも「10%」で同じだけお得なように見えるが、実際はどちらがお得なのだろうか? マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所・研究員の橋本之克(はしもと・ゆきかつ)さんによると、実際は10%ポイント還元より、10%割引の方がお得。10%という数字が印象に強く残った結果、ポイント還元も割引も同じようにお得に見えるそう。橋本さんの著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から、ポイント還元がお得に感じる理由の解説を抜粋して紹介する。

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 「10%割引」と「10%ポイント還元」を比較して、どちらが得かと聞かれたら、同じ10%だから、どちらも同じだけ得、と答える人もいるかもしれません。ところが実際は、下記に示すように「割引」のほうが「ポイント還元」よりも得なのです。

【10万円の商品が10%割引だった場合】
10万円の10%は1万円だから、支払う金額は9万円
(10万円-9万円)÷10万円=10%

【10万円の商品で10%ポイント還元だった場合】
もらえるポイントは1万円分だが、その1万円のポイントを使うためには11万円分の買い物をする必要がある。
支払う金額は10万円
(11万円-10万円)÷11万円=約9.1%

 つまり10%ポイント還元の場合、約9.1%の割引にしかなりません。

 「割引」より「ポイント還元」はお得ではないにもかかわらず、ポイントをためるのが好きだという人は多いようです。いつ使おうかと楽しみにしながら、なかなか使わずにため続ける人もいます。「ポイント還元」は実際以上に得だと思われるうえ、消費者をとりこにする魅力があります。

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ポイント還元が割引と同じようお得に見える理由は?