今はスリの「なり手」がいない? 画像はイメージ(GettyImages)
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 スリの件数が大幅に減少している。もちろん、ここでの「スリ」は「往来・乗物などで、他人の金品などを掠め取ること。また、その盗人」(広辞苑第七版・岩波書店)を指す。1993年には年約3万件もの発生が確認されていたが、2018年になると約3000件と激減。そこには、日本人の“ライフスタイル”の変化が大きく影響していた。

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 法務省が作成している『犯罪白書』令和元年版は、「スリの減少」について以下のような記述がある(原文の元号は西暦表記とした)。

「すりの認知件数は,1989年から2003年にかけて2万件を超える状況が続いていたが,2004年からは減少傾向を示し,2018年(3,281件)は,平成期で最も多かった1993年(3万217件)の9分の1以下となった」

 令和元年版には、スリの認知件数について推移を示す折れ線グラフも掲載されている。それによると2003年は2万5338件が認知されたが、翌04年になると1万9198件と一気に減少したことが分かる。

 なぜスリはこれほど減ったのか。

 ネットでは「日本人のスリや窃盗犯とかは高齢化」「スリや空き巣は後継者不足って感じ」「財布持ち歩かないのでスリが減った」など、さまざまな臆測が飛び交っているが、専門家はどう見ているのか。

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昔は「凄腕」のスリがいた