
個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は「じろうのじろん」について。
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眠いな。眠い。ロケバスの中って眠くなるんだよな。さっきドライバーさんに聞いたら、ロケ先に着くのに3時間弱は掛かるって言ってたな。どうしよう。この3時間弱、なにをしよう。ロケバスの中でなにをしよう。そうだ。コラム書こう。そうだそうだ。コラム書こう。なにを書こうか。今回のコラムは何について書こうか。俺の足が大きいことについて書こうか。前に書いたな。うん。前に何度も書いてる。じゃあ、俺は短足。これも書いたな以前に。えっと、俺は方向音痴。これも書いた。俺は顔が大きい。書いた書いた。これも全然書いた。ちょっとアレだな。自分の身を削る方向から離れよう。えっと………………………………………完全に寝てた。いま完全に寝てた。朝早かったからな今日。でも、いま夢の中で4本くらいコラム書き終えたから、担当K氏、それで許してくれないかな。無理か。あれ? 寝てる。スタッフ全員寝てる。ドライバーさんと俺以外、みんな寝てる。じゃあ、屁でもするか。みんな寝てるから屁でもしようか。みんな寝てるのに屁をしないなんて、失礼に当たるからな。誰にやねん。ふふ。みんな寝てるから自分でツッコんじゃう。ふふ。誰になにが失礼やねん。ふふ。楽しい。楽しいけど眠い。眠いけど、せっかくのこの、ロケバス移動時間にコラムをなんとしても書き上げたいな。3時間弱あれば、なんとか書けるだろう。ん? 待てよ。ちょ待て。ちがう。逆か。逆だな。みんなが寝てる時に屁をしたら、逆にもったいないじゃないか。まだ屁の話が続いてたのかとお思いだろうが、みんなが寝てる時に屁をしたら、ただただ、車内に臭いが充満するだけじゃないか。みんなが起きてるとしても臭いは車内に充満するとは思うが、せっかく屁をするならば、なんだろう、こう、屁をエンタメに昇華せねば。癒しと憩いのひとときを、屁によって車内の皆さまに提供せねば。(※編集注=原文ではここに改行は入りません)