子どもに対する性犯罪が後を絶たない。進学塾大手「四谷大塚」の元講師が、教え子の女子児童を盗撮し逮捕された。子どもたちを性加害から守るためにはどうすればいいのか。AERA 2023年9月11日号より。
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アエラは、SNSなどを通じて「子どもと性加害」についてのアンケートを実施。塾のほか、学校や学童で性加害を受けたり、目撃したという声が集まった。
特徴的だったのは、性加害を受けた人の多くが「周囲に相談しなかった」と回答したことだ。「当時はなにかわからなかった」と被害を認識できていなかったケースのほか、「自分が悪いと思った」「期待されているとうれしかった」と答えた人もいた。
かつて塾講師から性加害を受けたという20代の女性は、
「男性講師から太ももに手を置かれたり、頭をなでられたりして気持ち悪かった。でも、妹も親も『いい塾だ』と言っていたので、相談できませんでした」
と小さな声で打ち明ける。女性は、今でも時折当時のことを思い出すという。だが、そのことを誰にも話せずにいる。
「教員や塾講師など、子どもに関わる仕事をしている人の約10%は小児性愛の傾向にあると予測しています」
そう話すのは、性犯罪・性依存治療を専門とする「性障害専門医療センター(SOMEC)」代表の福井裕輝さんだ。多くの加害者と向き合い、治療にあたってきた経験からそう言い切る。
「人口の約5%は小児性愛だと言われています。その上で、小児性愛者が子どもと触れ合う職業を自ら選択するため、率が上がる。先生が10人いれば1人は小児性愛者の可能性があります。ただ、すべての人が加害をするわけではない。加害させない仕組みをつくることが大切です」
その取り組みの一つとして、2019年に同センターの協力のもと長崎県教育委員会が導入したのが「心と性に関するチェックシート」だ。〈無理やりわいせつな行為をする男性の多くは、他の男性よりも性欲が強いかセックスに飢えているからである〉〈今の職場では、女性職員の立場はそんなに強くならなくてもいいと思う〉など全42項目にわたる質問に5段階で回答。一定の点数を超えた人には、センターで相談を受けるよう促している。福井さんは言う。