
落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「ラジオ」。
「ラジオ」。現在レギュラーを二つやらせて頂いています。またラジオについてはいろんなところでコラムを書いたりしてますよ。そうそう。子供の頃から聴いていた番組にまつわる思い出と、私の青春の日々を赤裸々に綴った『人生のBGMはラジオがちょうどいい』という本が双葉社から出ております。ご興味があれば是非お読みください。ただ内容がマニアックなのであまり売れていません。買ってください。おもしろいんだけどなぁ、赤裸々過ぎて。
レギュラーやら、ゲストに呼んでもらったりやら全国のラジオ局にはお世話になっております。元々ラジオ番組を作る側になりたかったこともあるので、初めてラジオ局に足を踏み入れたときは嬉しかったなぁ。まぁそれがいつだったかハッキリとは覚えてないんですが。
いつだっけ? 落語家になってからだとは思うのだけど……たぶん入門して5年目くらいにFM南青山というコミュニティFMの春風亭勢朝・桂竹丸両師匠の番組に呼ばれたのだと思います。「暇なら来て」と声をかけられヒョコヒョコ行ってみた。私の想像していたラジオ局というより、普通のオフィスに囲いがあってその中にマイクが三本立ってるかんじ。大先輩お二人と何を喋ったかもまるで覚えていない。ただ「そろそろ落語やってもらえないかな?」と言われ、先輩同業者を前に一席やるという地獄のような数分間だけは記憶にある。ウケるわけない。休憩中、汗だくでうなだれていると、そのスタッフの一人が「川上くん、久しぶり」と話しかけてきた。なんと高校時代の同級生・矢野くん。矢野くんとはそれほど親しく付き合ったほうではないがクイズ研究会と落語研究会というマイノリティ同士、気が合うところがあった。高校生クイズの予選に西武球場へ行くというので、私と落研仲間の高木くんと相撲部の佐藤くんの三人でチームを組んで矢野くんについて行ったことがある。○×クイズはクイ研と同じほうに行けば問題なかろうと思ってたら、二問目で不正解だった。なんだよ、矢野くん。