その背景には、強い覚悟がある。大会前に「今大会でパリ五輪の出場権を取れなければ代表を引退する」と宣言したのだ。

 折しも日本は2019年W杯で5戦全敗、21年東京五輪でも3戦全敗と、過去4年の国際大会で8連敗中。そのうえ、上記二つの世界舞台をともに戦った盟友、八村塁はNBA専念を理由に代表を辞退している。決して容易ではない。

 それを承知でこの大会に賭けた。その理由を「ここが自分のやれる一番のポイントなんじゃないかと思ったのではないか」と、渡辺の恩師である香川県私立尽誠学園高校バスケットボール部の色摩(しかま)拓也監督は推察する。

「毎年、毎年、しんどいですと、僕に言ったことがあります。やっぱりギリギリのところでいつも勝負していますから。(28歳という)年齢もあるので、公言することによって自分を追い込みたかったのではないか。なおかつ周りに緊張感を持たせる意味もあるでしょう。言ったらやるしかない。逃げ道を自分から全部断ったのかもしれない。僕らが思っている以上に、彼は日本代表に対してプライドを持っている」

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