落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「百年」。
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今年の9月1日で関東大震災から百年。メディアでは例年以上に関東大震災の教訓やそれにまつわる事件を取り上げている。毎年同じ熱量でやればいいじゃないかとも思うが、やはり百年。区切りの重みというものですな。
ところで、私の所属している一般社団法人落語協会も来年2月に百周年を迎える。こちらは大変おめでたい。百年続く芸人の団体はなかなかないだろう。自分勝手な芸人が「落語協会」という名の下に一応まとまってきた……ほとんど奇跡だ。それも離合集散を繰り返しながらの百年。すごいね、百年て。
2月25日が発会の日らしい。今まではっきりしていなかったのだが、百周年を記念すべく「区切りの日はいつにしようか」と思案していると、当時の「都新聞」に「落語協会発会式」の記事が出ているのが見つかったという。「今日から落語協会って団体を作るから、よろしく頼むよ!」みたいな会が上野精養軒で執り行われたんだって。上野精養軒はいまだに落語協会の真打ち披露宴でもお世話になっている。そんな頃からの付き合いだったのか。とにかくあそこはカレーが美味しいですよ。
関東大震災のほぼ半年後に落語協会が誕生。演芸どころじゃない日が続き、ようやく落ち着いてきたから、さぁ発会式でもやろうかということだったのかな。とはいえ落語家。不特定の何人かの落語家がワチャワチャと集まって相談したんでしょう。