しかし、気になるのは「先見の明」という特殊な能力に秀でた、鬼殺隊の長・産屋敷耀哉が、自己犠牲によって戦況を打開しようとする彼女たちの計画に、本当に気づいていなかったのかという点だ。

産屋敷耀哉の狂気

 産屋敷耀哉は鬼殺隊の隊士たちを「子どもたち」と呼び、鬼との戦闘で重傷を負った隊士たちのケアや、亡くなった場合にはその遺族への伝達や墓の管理など、手厚い保護を行っていた。ただ、その一方で、耀哉の狂気が見える場面がいくつもあるのは事実だ。

 耀哉は鬼の滅殺を誓う産屋敷家の当主として、自身の「短命の血」が受け継がれると知りながら、妻をめとり、子を作り、後継者に次期当主としての教育をほどこした。産屋敷家千年の執念のために、自分の家族をそれに巻き込んだ点は否定できないだろう。

 ある時、無惨が炭治郎たちに向かって「鬼狩りは異常者の集まりだ」(21巻)と言うのだが、実はその「異常性」は、鬼殺隊という集団ではなく、耀哉の狂気によるものなのではないか、とも解釈できる。

隊士たちの強い意志

 柱稽古編で一般隊士は、訓練で「柱」たちにボコボコにされながらも、「柱ってやっぱすげぇわ」と納得しながら、「柱」たちを慕っている。この後、鬼との総力戦に突入した時に、彼らが「今までどれだけ柱に救われた!! 柱がいなけりゃ とっくの昔に死んでたんだ」と叫ぶが、一般隊士たちにとって、過去に「柱」たちが救ってくれたことが、彼らの行動の原動力になっている。

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「鬼狩りは異常者の集まりだ」の意味