このように隊士の中には、家族のために戦う者、剣士としての理想を語る者、金銭などが目的の者などがおり、戦う動機もさまざまなのだ。

鬼殺隊における「個の意志」の尊重

 鬼殺隊が「個」を尊重していることがよくわかるのは、蟲柱・胡蝶しのぶの邸宅で、治療の手伝いをしている神崎アオイのエピソードだ。彼女は入隊試験を突破した剣士でありながら「恐ろしくて戦いに行けなくなった」のだと言った。しかし、「柱」であるしのぶが、アオイに戦闘を強制する様子はない。音柱・宇髄天元が遊郭潜入捜査に、無理やりアオイを協力させようとしているが、のちにその件でしのぶともめたほどである。

 同様に「柱稽古編」でも、自分の意志で、厳しい訓練を離脱する複数の隊士が描かれる。鬼滅の世界では、すべての隊士はいつでも鬼との戦闘をやめることができるのだ。現実世界で戦時に徴兵される兵士とは大きく異なる。

強い鬼を倒すための「捨て身」の戦法

 ただその一方で、鬼と戦うために、自分を犠牲にする方法を選択する者たちもいる。「柱稽古編」そして、その後の「最終決戦」で明らかになるが、ある2人の女性が、「自分の死」を予定に組み込んだ、極秘の戦法を取ろうとする。これは他の隊士たちに広く共有されている内容ではない。つまり、誰かの命令によって決めた作戦なのではなく、あくまでも個人的な計画なのだ。

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すべての隊士はいつでも鬼との戦闘をやめられる