さらに問題が広がれば、世界経済への影響が心配だという。

「中国経済がおかしくなれば、まず、資源の需要が減り、資源価格の下落を招く。すると産出国の経済に打撃を与える。中国に生産拠点を置く海外の企業や、中国向けの投融資を手がける金融機関も、当然、ダメージを受けます。そのせいで欧米の巨大な金融機関の経営が傾いたら、どの国も財政に余裕はないので救済するのは容易ではないでしょう」(市岡さん)

 怖いのは中国が米国債を大量に手放すことだ。

「中国は日本と並ぶ米国債の保有国です。中国がドルを確保するために大量に手放すようなことがあれば、米国の金利は跳ね上がる。すると日本円をはじめ、ドル以外の通貨は下落し、ドル建ての債務は膨らんでしまいます」(同)

 そうなったら、財政が行き詰まる国も出てくるだろう。日本もひとごとではない。

(Aera.dot 編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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