勝利の雄たけびをあげる主将・大村昊澄選手(写真中央)の帽子のつばには、“相棒”から送られた言葉「日本一の主将」が記されていた(撮影/加藤夏子)

 続いて、チームを率いる主将・大村昊澄選手。隣には、大村選手に「相棒へ 日本一の主将にさせる」という手紙を送り、自主練習に付き合ったり相談に乗ったりと献身的に支えてきた、細井克将選手がぴたりと寄り添っていた。細井選手が何か話しかけると、大村選手は笑顔でうんうんとうなずく。二人の間のたしかな絆がうかがえる一幕だった。

 そのすぐ後ろは、土浦日大との準決勝で9回118球無失点の大活躍を見せた、エース・小宅雅己選手。左手で前髪をサラリとかきあげ、颯爽と歩く。偶然その場に居合わせた乗客のなかには、急いでカメラを向ける人もいたが、一行は和やかに談笑しながら業務用エレベーターでホームを後にした。この日はそのまま駅で解散となったという。

 クールな帰還だったが、甲子園での雄姿は、間違いなく多くの元塾生の胸を揺さぶった。

 決勝戦では、スタンドを埋め尽くした観客の声援の大きさが仙台育英側とはケタ違いで、「応援の圧が強すぎる」「マナー違反では?」と物議をかもし、応援歌の「若き血」がSNSで話題をさらった。テレビ局の慶応出身アナウンサーは、情報番組に登場するたびに熱くコメント。そのすべてがOB・OGの愛校心の強さを物語っていた。

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