マップは昨年5月、都の防災会議地震部会が2012年から10年ぶりに見直した被害想定を反映させている。新たな想定では、死者は都内全域で約6100人。10年前の想定(約9600人)より36%減った。それでもなお、約6400人が犠牲となった阪神・淡路大震災(1995年)に匹敵する規模だ。
山手線外側の木密地域
同会議で地震部会長を務めた東京大学の平田直(なおし)名誉教授(地震学)は言う。
「この10年で古い建物から耐火性のある建物に置き換わり、耐震化率は82%から92%まで上がり東京の住宅はより安全になったと言えます。しかし、残り8%が課題。震度6弱以上で倒壊する可能性が高く、いったん倒れれば火災が発生します」
23区で死者数が最も多いのは足立区の795人。次いで大田区(726人)、世田谷区(645人)、江戸川区(582人)と続く。
平田さんによれば、死者数は「被災する人口、建物の全壊率、焼失率など」から導く。死者が多いのは人口と、倒壊して燃えやすい古い木造住宅が密集した木密地域の多い区だと話す。
「これが一番のリスク。山手線の外側にリング状に広がっています」(平田さん)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年8月28日号より抜粋