早朝の訪問は、人混みを避けることができるだけでなく、ベストな紅葉も堪能できて一石二鳥。朝一番で渡月橋と天龍寺を訪ねたら、ゆっくりと嵯峨野の散策を楽しもう。
そしてもう一つ。最強ナビゲーターが教えてくれた「穴場」が、市街地のど真ん中にある二つの寺院だ。

相国寺は、室町幕府3代将軍・足利義満が創建した、臨済宗相国寺派の大本山。地下鉄烏丸線今出川駅から徒歩8分とアクセスしやすく、紅葉のピークが異なる二つの庭園がある。秋に特別公開される開山堂庭園は紅葉の見頃が早め。手前が白砂の枯れ山水、奥は紅葉がきれいな苔地築山となっていて、2種類の要素が一体となり見事に調和している。雨の日に開山堂からその庭園を眺めるのもいい。裏方丈庭園は見頃が遅め。まるで渓谷のようで、こちらもまた見ごたえ十分だ。
相国寺のある今出川駅の隣、地下鉄烏丸線鞍馬口駅が最寄りの妙覚寺も、アクセスしやすいのに、縁側の静かに座ってゆっくり過ごせる紅葉の穴場。現在地への移転前、二条衣棚にあった時代には織田信長が上洛時の宿所にしたという縁の寺院で、春と秋に特別公開される。

苔地にカエデが植えられた本堂の前庭は、法姿園と称される3つの庭園の一つで、そのシンプルさが美しい。晩秋には庭一面を絨毯のように覆う散りもみじも見事。真っ赤なカエデが彩る前庭を、堂内から額縁に見立て撮影したり、縁側に座って眺めたりできる。日当たりのいい、午前中から昼すぎがねらい目だ。
(構成/生活・文化編集部 岡本 咲)