田中壱征監督。画像の一部を加工しています(写真=本人提供)
この記事の写真をすべて見る

 5月23日、「カンヌ国際映画祭2023」のレッドカーペットを歩いた田中壱征監督(49)。監督・脚本を担当した映画『風が通り抜ける道』がカンヌの地元ホテルで特別上映された。同作は家族の喪失も大きなテーマとなっているが、田中氏自身も2歳の時に両親がいなくなり、祖父母に育てられるという幼少期を経験している。紆余(うよ)曲折ありながらも映画監督という職業にたどり着いた壮絶な人生について聞いた。

【「小学校で飛び降りも考えた」という壮絶な幼少期を過ごした人気女優はこの人】

*  *  *

 映画監督の憧れである、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いた感想を田中監督はこう振り返る。

「私の前の時間帯に歩いたのが、新作『首』がプレミア上映された北野武監督でした。私の少し前を歩いたのは、『アステロイド・シティ』に出演した俳優のトム・ハンクス。レッドカーペットの周りには世界有数の記者とカメラマンがずらっと並んでいたので、もっと有効に動いて、より注目されるポジションを取ればよかったなと反省しています(笑)。『風を通り抜ける道』には山田邦子さんも出演して頂いていたのですが、当日は残念ながら来られませんでした。邦子さんは『レッドカーペットを歩けるなら、一緒にカンヌへ行けばよかった』と言っていました(笑)。邦子さんと北野監督のツーショットを撮りたかったですね。それがかなわなかったのは、正式出品までに至らなかった自分の力不足です」

次のページ
小学校の父兄参観に来るのは祖父