現統合編集長の浅島亮子。「(弊社のカルチャーは)出世のために人を蹴落としたり、各部署との社内政治にエネルギーを費やしたりするのはダサいなと本能的に感じて行動している人が多いのかなと思います」(撮影/写真映像部・高野楓菜)
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 ダイヤモンド社社長の石田哲哉に、デジタル有料版導入のための舵取りを頼まれ、ロイターから移籍した麻生祐司は、これまで別の局に所属していた週刊ダイヤモンド編集部とダイヤモンド・オンラインの編集部をまず統合しなくてはならないと考える。

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 さらにデジタル有料版の会員を増やしていくためには、あつまってくるデータを解析するデータアナリストが必要だ。麻生はデータアナリストを複数採用し、石田はテクノロジー全般をみていくチーフテクノロジーオフィサーを他社から引き抜いた。

 組織の大改編を石田は決断し、ダイヤモンド・オンライン編集部と週刊ダイヤモンド編集部を統合、ダイヤモンド編集部とした。さらに、記事をさばいてだしていくためのデジタル編成部、顧客獲得のためのオーディエンス開発部などをつくり、新設のビジネスメディア局の下において局長を麻生にした。

 統合編集部の編集長は、社内で有料デジタル版の研究をかねてからしていた副編集長の山口圭介が就任し、有料版のローンチは2019年6月に定められた。

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下山進

下山進

1993年コロンビア大学ジャーナリズム・スクール国際報道上級課程修了。文藝春秋で長くノンフィクションの編集者をつとめた。聖心女子大学現代教養学部非常勤講師。2018年より、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授として「2050年のメディア」をテーマにした調査型の講座を開講、その調査の成果を翌年『2050年のメディア』(文藝春秋、2019年)として上梓した。著書に『アメリカ・ジャーナリズム』(丸善、1995年)、『勝負の分かれ目』(KADOKAWA、2002年)、『アルツハイマー征服』(KADOKAWA、2021年)、『2050年のジャーナリスト』(毎日新聞出版、2021年)。標準療法以降のがんの治療法の開発史『がん征服』(新潮社)が発売になった。元上智大新聞学科非常勤講師。

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