それが「ダイヤモンド・プレミアム」の開始とともに徐々に変わりつつあることを浅島は実感することになるのである。
まずダイヤモンド・プレミアムで出す特集記事は、「セブンDX敗戦」(全15回)、「エネルギー動乱」(全20回)にしても、かつてのように記者が存分に深掘りをして、その企業あるいは業界の大きな変化をつかんだものだった。
紙の雑誌では、一つの特集で、2万から3万の読者を目指さないとならないが、サブスクでは、ひとつの特集で有料会員を100人獲得できれば合格ラインだった。だから業界の深掘りができる。「セブンDX敗戦」では、1800の有料会員を獲得した。
もちろん紙の雑誌も維持しなくてはいけないからライフスタイル系の特集も続けている。しかし、かつては難しかった産業・企業ものが完全復活し、ダイヤモンド社の精神的支柱だった経済ジャーナリズムを追い続けることができるようになったのである。
2023年6月まで統合編集部の初代編集長だった山口はダイヤモンド・プレミアムと週刊ダイヤモンドの進行表をみせてくれた。最初のうちは、紙の雑誌で最初にやった特集をデジタルに移しているケースもあったが、それだと紙の売上もデジタル獲得読者数もいまひとつだったこともあって、まずデジタルのほうで連載をした後に、それをアレンジして紙の特集にもっていくケースがほとんどになった。