熱戦が繰り広げられている阪神甲子園球場

 全国的な猛暑が続く中、「第105回全国高校野球選手権記念大会」で、熱中症による体調不良を訴える球児が増え、新たな〝暑さ対策〟を求める声が出てきている。
 

【写真】今大会の注目の選手はこちら

 開幕戦となった第1試合の土浦日大―上田西戦では、土浦日大の中堅・香取蒼太が六回裏終了時に守備位置で倒れ込み、担架で運ばれた。上田西の黒岩大都も六回裏に三ゴロに倒れた際に足をつったため自力で歩けず、七回表の守備から途中交代。延長タイブレークの十回の守備でも、上田西の左翼・中村太軌が足をつったため交代した。続く第2試合でも聖光学院の先発・小室朱生が六回にマウンド上で脚を伸ばすなど気にするそぶりを見せて緊急降板。足をつったとみられる。その後の試合でも熱中症による体調不良を訴える選手が出ている。

 今大会から暑さ対策で、五回終了後に「クーリングタイム」を実施。選手は水分補給や送風機、スポットクーラーなどで体温を下げられる。だが、クーリングタイム後に足がつるなど体に異変が生じて交代する選手も。

 東北地方の県立高校野球部の男性トレーナー(38)は、こう指摘する。

「体内温度を一気に冷まして、猛暑の中で再びプレーすると筋肉が固まったままなので足がつりやすくなる。クーリングタイムは必要ですが、10分間のうちの残りの数分は体をほぐすなどのストレッチが必要です。ただ、暑さ対策で言えば限界がある。県大会でも猛暑の中でプレーしていましたが、甲子園ははるかに暑い。体感温度が50度に近く、選手はサウナの中でプレーしている感覚だと言っていました。僕らがプレーしていた20年前の夏とは比べものにならないほど暑い。熱中症は重症化すると命の危険があります。取り返しのつかない事態になる前に、対策が必要だと思います」

次のページ
聖地・甲子園に抱く特別な思い